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2023年07月20日

私立学校法の一部改正-役員及び評議員の資格等に関する経過措置について(改正附則第2条)

令和5年の通常国会に提出されていた「私立学校法の一部を改正する法律案」(以下、改正法という。)が令和5年4月26日に参議院本会議にて可決され、5月8日に公布されました。

 改正法は、我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進するための制度改正を行うことを目的としています。

 また、幅広い関係者の意見の反映、逸脱した業務執行の防止を図るため、理事、監事、評議員及び会計監査人の資格、選任及び解任の手続等並びに理事会及び評議員会の職務及び運営等の学校法人の管理運営制度に関する規定や、理事等の特別背任罪等の罰則について定めています。

特に「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の権限分配を整理し、私立学校の特性に応じた形で「建設的な協働と相互けん制」を確立しています。

このため、理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の下限定数は、理事の定数を超える数まで引き下げるとともに、①理事・理事会により選任される評議員の割合(経過措置なし)や、②評議員の総数に占める役員近親者(経過措置あり)及び③教職員等の割合(経過措置なし)に一定の上限を設けています。

 今回は、経過措置が定められている改正法附則第2条(役員及び評議員の資格等に関する経過措置)について、以下解説します。

改正私学法附則第2条では、

(1)改正法施行の際の役員・評議員については、令和7年4月以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までは、役員・評議員の資格及び構成に関する規定は、現行のままとする。

(2)改正法施行の際の役員・評議員については、令和9年4月(大臣所轄学校法人等については令和8年4月)以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までは、評議員の構成等に関する要件の一部を緩和する。

とされ、令和7年4月以後最初に招集される定時評議員会までは、現状の役員・評議員の資格や構成が維持されるとともに、(2)の経過措置期間中は、

・理事は、3人(経過措置期間満了後は2人)以上の評議員と特別利害関係を有してはならない

・監事は、3人(経過措置期間満了後は2人)以上の評議員と特別利害関係を有してはならない

・評議員は、他の3人(経過措置期間満了後は2人)以上の評議員と特別利害関係を有してはならない

・理事、監事、他の評議員のいずれかと特別利害関係を有する評議員、子法人役員、子法人に使用される者である評議員の数は、評議員の総数の1/3(経過措置期間満了後は1/6)を超えてはならない

と要件の一部が緩和されています。

 なお、上記のとおり、①理事又は理事会により選任される評議員の割合(1/2以下)や、③評議員総数に占める教職員等の割合(1/3以下)については、経過措置の定めがありませんので、令和7年4月以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までに対応することが求められます。

【参考】文部科学省 私立学校法の改正について(令和5年6月6日更新)より一部抜粋