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2023年10月18日

公益法人制度改革の方向性

令和5年6月2日、新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有職者会議の「最終報告」が公表されました。

令和4年に内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の下に設置された有職者会議において、議論を重ねた検討結果を最終報告として取り纏めています。

 有職者会議は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)を基に議論を行いました。

 最終報告は、民間による社会的課題解決に向けた公益的活動を一層活性化して、政府が掲げる「新しい資本主義」の実現に資する観点から、現行の公益法人制度の在り方を見直し、制度改正及び運用改善の報告制について検討しています。

 今後は、令和6年改正法案の国会提出、令和7年度新公益法人制度施行を予定しています。

 改革の方向性は、4項目が示されており、概要は以下の通りです。

1.改革の意義及び基本的方向性

2006年制定の新公益法人制度は、民間による公益増進を目的として大規模改正が行われてスタートしました。

この改正は、不祥事の発生を契機といて、旧来の民放法人制度への反省を踏まえ、議論が行われたという経緯があり、制定後は厳格な事前規制・監督による国民の信頼確保に重点を置いた行政が主軸となっていました。この為、公益的活動の自由な展開や伸長の制約となっているとの指摘がありました。

 新制度移行から十数年が経過した現在は、公益法人制度とその運用をめぐる諸課題を克服して、新しい資本主義の下、社会の変化等に柔軟に対応し多様な社会的活動解決に向けて民間の力を引き出していくための制度改革が求められています。

2.より柔軟・迅速な公益的活動の展開のために

収支相償原則について、見直しが行われます。単年度の収支は、赤字でなければならないという誤解が根強く残っており、収支均衡の判定では過年度の赤字は考慮されないなど、公益法人の効果的な財源活用が困難になっているという課題があります。

また、実務上の混乱の要因となることがあり、改善を要望する声があがっていました。

主な改正の方向性は、具体的には下記の通りです。

(1)中期的な収支均衡の確保

・単年度の収支差ではなく、中期的な収支均衡状況を図る趣旨を法令上明確化

・「黒字」が生じた場合には「中期的」に均衡を回復

・「中期的」は5年間とし、過去の「赤字」も通算して判定

・加えて、将来の公益目的事業の発展・拡充のためより柔軟な積立を行うことが可能な「公益充実資金」を創設

(2)遊休財産(使途不特定財産)の適正管理

・遊休財産(使途不特定財産)の適正管理

・事業費1年相当分を超えて保有する場合、その合理的な理由や超過額を将来の公益目的事業に使用する旨を明らかにし、法人自ら継続的にフォローアップ

・上限額の予見可能性を向上(過去5年間の平均事業費等を基準に算定)

(3)公益認定・変更認定手続の柔軟化・迅速化

・「公益性に大きく影響せず」かつ「事後監督で是正しうる」変更は届出化(例:公益目的事業の事業再編・縮小、収益事業の追加等)

・必要書類の合理化・明確化、審査期間を公表(短縮を図る)

(4)合併手続等の柔軟化・迅速化

3.より国民からの信頼・協力を得ていくために

公益法人の運営に関する情報開示やカバナンス充実化を図るための方針を示しています。

また、会計監査の機能強化について明示があり、他法人制度との比較を行い、会計監査人必置とする範囲の拡大について検討する予定です。

(1)透明性の一層の向上

・法人運営に関する情報開示の充実

 ・わかりやすい財務情報の開示

 ・法人情報の利活用の向上

(2)法人の自律的なガバナンスの充実

 ・個々の法人の実情に応じた自主的・自律的な取組の促進

(3)行政による適正な事後チェック

 ・理事会・監事等の機能強化、会計監査機能強化等

・法令での必置範囲拡大の検討(現行の収益1,000億円・費用損失1,000億円・負債50億円以上について、収益100億円、費用損失100億円、負債50億円以上とすることを検討)

 ・必置でない法人に対しても任意監査等の選択肢の提示(事後チェックへの重点化)

4.民間による公益的活動の活性化のための環境整備

政府の「新しい資本主義」が目指す民間による公益的活動の活性化に向けて、以下の方向性が示されています。

・公益信託制度改革

・公益法人による出資等の資金供給

・公益法人行政のDXの推進

・法人・経済界等との対話の推進等

【参照HP】

・最終報告(新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議、令和5年6月2日)

・新しい資本主義の実現に向けた公益法人制度改革(内閣府大臣官房公益法人行政担当室、令和5年6月2日)