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2023年03月16日

令和5年4月よりデジタルマネーによる給与払いが解禁されます。

令和5年4月より労働基準法施行規則の一部を改正する省令が令和4年11月28日に発表され、

給与の支払いをデジタルマネーで行う「デジタル給与払い」が解禁となります。

デジタル給与払いとは、給与を銀行口座ではなく、資金移動業者が管理する決済口座(××ペイ等)に直接振り込むことを言います。

給与支払いに関しては、労働基準法においては現金払いが原則となっており、

一般的な銀行口座への支払いは例外扱いの位置付けでしたが、今回給与払いに関する規制を緩和し、例外の扱いに、デジタルマネーも一定の条件を定め、追加されることになりました。

一定の条件とは、

①決済口座の残高の上限を100万円とする。

②労働者との合意を前提とする。(賃金のデジタルマネー払いに関する協定書の締結)

③月に一回は手数料なしで現金の引き出しを可能とする

です。

デジタル給与払いのメリットとして、主に二点が挙げられます。

1点目は、若者や、銀行口座の開設が困難な方々、特に外国人労働者に対する金融サービスの提供。例えば、米国では、銀行口座を保有できない方々向けに、給与を受け取ることを目的とした、「ペイロールカード」と呼ばれる決済サービスを介して、決済や現金の引き出しが出来るシステムがあります。海外でのこのような事例に倣い、日本でデジタル給与払いが解禁される運びとなりました。人手不足を解消する点と比例して、年々外国人労働者は増加傾向にあり、銀行口座の代替として、日常の決済や送金等に活用されることが期待されてます。

2点目は、キャッシュレス決済の促進です。2021年の日本国内におけるキャッシュレス決済比率は32.5%(経済産業省HP参照)に留まり、韓国、中国などと比較すると大きく下回る水準と言われています。デジタル給与払いの解禁により、給与がキャッシュレス口座に直接入金されることで、キャッシュレス決済の利用頻度と金額が増加すると見込まれています。

デジタル給与払いが普及するに当たってのリスク及び、課題点は以下の通りです。

1.すでに銀行口座を保有する中高年以上の多くの利用者にとって、導入メリットが乏しい。給与受取の選択肢が広がる一方、銀行口座からキャッシュレス口座に振り込む手間が省けるだけにすぎないという点です。

2.給与の支払いを行う企業側の課題点として、決済口座残高が100万円を超えないよう管理することが重要であり、各従業員の要望に応じて経理部門は振込先や、振込金額を調整する必要があります。残高が100万円近くになった場合、決済口座に振り込む金額を変更する必要があるなど追加の事務手続が必要になるため、運用上の手間が増える可能性があります。××ペイの使用は、少額決済がメインであるため、当面は給与額全額を決済口座に振り込むを希望する人は少数派で、数万円から多くとも10万円迄を希望する方が大多数と推測します。

今後関連サービス含め、開発が進み、どのように普及していくか、注目していきたいと考えます。