2014年9月5日

教育機関に及ぼす消費税負担増の危機1/3


永和監査法人 会長 齋藤力夫

■はじめに

  平成25年度の国の一般会計の歳出予算は、99兆2500億円、これに東日本大震災の復興経費 を加えると100兆円超の歳出となり、前年の歳出とほぼ同規模、過去最大となり、平成20年度の歳出80兆円に比して20兆円も増えている。
 一方、わが国の国債などの債務は1千兆円を超え、世界最大の債務国となり、GDPの2倍 を超える金額で、まさに経済危機と言われている。新政権のアベノミクスでは、このような危機打開策として、デフレからの脱却による活力ある経済再建と金融政策を目指しているが、歳入、歳出の均衡財政いわゆるプライマリーバランスに至るまでには、想定できないほど程遠い現況である。
 その一環として、社会保障費、年金の圧縮なども打ち出し、税制では所得税率のアップ、相続税の負担増などのほか、消費税を平成26年4月に8%、27年に10%とする大幅増税にも踏み切った。活力ある経済を復活するためには、やむを得ない大胆な戦略と言えよう。消費税は1%アップで国税約2兆円程度増とみられるが、消費税負担増による消費の減速、税の転嫁 困難との見方もある。現在、平成25年度の国の消費税の税収は5%のうち4%の10兆6千億円 であるが、今回の消費税を8%に改正し3%増税によって国の税収は5兆円超増(地方税は別途増税)と予定している。
 平成27年に2%アップすると消費税は4兆円増とも見積もられる。GDPの伸び率、国民生 活の安定化が改善できれば、消費税の予算は正規に算定すれば本来約20兆円(国のみ)とも言われているが、一部の大企業の増収増益状況のみではGDPの伸び率2.5%を維持する目標であるが、容易ではない。
 わが国の全国企業250万社のうち大部分は中小企業であり、帝国データバンクの8月調査で は、例えば電力の値上げについて80%の企業が価格転嫁できないとの回答である。新聞、書籍 出版業界からも税率軽減せよとのかなりの反発があり、税率の軽減が求められている。
 また、一般の家計にも相当な影響がある。水道、電力、燃料はもちろんのこと、旅客運送に ついても負担の増加が生活を圧迫していく。世論では、消費税増税を賛同している層は53%で、 残りは評価しない又は見送りの意見も多い。また、アベノミクスでは、インフレに対応する賃 上げを望んでいる。企業の70%は賃上げ困難との意見で、定期昇給を行うがベースアップは難 しく、一時金で対応するケースもある。
 筆者は増税に反対しているのではなく、8%施行をずらしてEU諸国の税制との比較検討をし、 1年程度期間を延長し慎重に導入すべきだったと考えている(8月31日の読売新聞社説も同様 な提案を進言している)。

(注)8%消費税の場合は、国税6、3%、地方消費税1.7%。10%消費税の場合は、国税7.8%、地方消費税2.2%と なる。

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